各国でトレハロースの安全性が確認されています。
トレハロースはキノコ、パン酵母などに含まれる天然の糖です。弊社は、酵素を使って澱粉からトレハロースを製造し、これを製品名「トレハ®」として販売しています。
トレハロースの食品/食品添加物としての安全性は、国際食品規格委員会(CODEX委員会)及び各国政府機関レベルで評価されています。WHO/FAO合同食品添加物専門家会議(JECFA)では、使用基準を設定しない食品添加物(miscellaneous food additive)として「一日許容摂取量は特定しない」と結論しました*1。米国食品医薬品局(FDA)でも、食品原料/添加物としてGRAS(一般に安全と認められる)評価に対して異議はないと判断され、さらに欧州連合(EU)でも安全と評価され、新規食品として認可されました。その他、オーストラリア/ニュージーランド(FSANZ)・ブラジル(ANVISA)・カナダ(Health Canada)・中国(衛生部)・インド(FSSAI)でも安全であると評価され、現在60か国以上で「トレハ®」が食品に使用できることを確認しています。
主要各国でのトレハロースの許認可
2000年 | JECFAで、「一日許容摂取量を特定しない(ADI ‘not specified’)」と結論。 |
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2000年 | 米国FDAがNo question letter (GRAS(Generally Recognized As Safe)評価に対して異論なし)を発行(GRN 45)。 |
2001年 | EUで新規食品として認可。 |
2003年 | オーストラリア/NZで新規食品として認可。 |
2004年 | ブラジルで新規食品原料として認可。 |
2005年 | カナダで新規食品として認可。 |
2007年 | 中国で新資源食品として認可(2018年一般食品に分類移行)。 |
2015年 | インドで食品原料として認可。 |
トレハロースの大量摂取による影響について
トレハロースはグルコースが2個つながった構造をしており、口から摂取したトレハロースは小腸の酵素・トレハラーゼによってグルコースに分解され、吸収されます。ただし、トレハロースを一度に大量摂取すると、一時的におなかが緩くなることがあります。報告では、トレハロースの下痢に対する最大無作用量は0.65g/kg体重(60kg体重の成人で摂取量39g)と算出されています*2。特にトレハラーゼ欠損症の方は、体内でトレハロースをグルコースに分解できないため、少量のトレハロース摂取でもおなかが緩くなりやすい可能性があります。これは、ラクターゼ(乳糖分解酵素)欠損者の乳糖不耐症や、糖アルコール(ソルビトール、マルチトールなど)のような難消化性・非吸収性の糖類を一度に大量に摂取することによる不耐症と同様の、よく知られた生理的な反応です。
詳細は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のサイトをご覧ください(英語)。
また弊社はトレハラーゼ活性が低い人の割合について文献調査を行い、各国政府機関に報告しております。トレハラーゼ活性の低い人の調査結果は文献により母体数が様々ですが、0~最大2%といった報告があります。米国FDA GRAS Notice(No.45)では、米国および欧州各国でのトレハラーゼ欠損者割合がTable 15で要約されておりますので、そちらもご参照ください*3。JECFAにおいても、トレハラーゼ欠損の人が存在することを認識しております*1。
*1 JECFA評価書
*2 トレハロースの下痢に対する無作用量に関する報告
T. Oku & M. Okazaki (1998) Transitory Laxative Threshold of Trehalose and Lactulose in Healthy Women. J. Nutr. Sci. Vitaminol., 44, 787-798
*3 米国GRAS Notice
雑誌Natureに掲載されたトレハロースに関する論文について
雑誌Natureに論文 “Dietary trehalose enhances virulence of epidemic Clostridium difficile”(2018年)が掲載され、これを基に、WEBニュース等でトレハロースに関する報道がなされました。
この研究論文に関する弊社の見解や、その内容の信憑性について複数の研究機関が共同で検証した研究論文について、ナガセヴィータ株式会社Webサイトに掲載しております。
詳しくは以下のページをご覧ください。
雑誌Natureに掲載されたトレハロースに関する論文について|ナガセヴィータ株式会社
雑誌EBioMedicineに掲載されたトレハロースの安全性を裏付ける論文について|ナガセヴィータ株式会社